寺田衣里「(sleeping) white elephant」

寺田衣里「(sleeping) white elephant」

「あすへの祈念」は、1964年東京オリンピックの開会式を見た作家杉本苑子が共同通信に寄稿した文章である。本作品ではこれを、2回目の東京オリンピック開催予定だった2020年に、改めて読む – 朗読する というものである。

タイトルに含まれる「white elephant(白い巨象)」という言葉は、オリンピック期間中の使用のためだけに造られた巨大な施設の比喩としてしばしば使われる表現である。新しい国立競技場がその意味通りのものになるかどうかは、本来なら2020年7月24日に開幕するはずだったオリンピックが翌年に延期となった(そしてその開催も危ぶまれている)2020年現在では、まだ誰にもわからない。

2020年は終戦から75年という節目の年でもある。改めて「あすへの祈念」を読む行為は、戦争の記憶が薄れつつある現代において、過去の作品から想像することを通して、戦争を繰り返さないという決意を新たにするための実践のひとつである。(2020.07)


寺田衣里

2018年多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻修了、博士号取得(芸術)。イサム・ノグチによる実現しなかった広島原爆慰霊碑案をカウンター・モニュメントの萌芽として再考するとともに、いまだモニュメント性を説く彫刻教育への批評を展開。文章、彫刻、映像、アクションなどで、政治的矛盾や保守的土壌を批評する作品制作を行なっている。森山晴香とのプロジェクト「OLYMPICNIC」として、10月28日よりトーキョーアーツアンドスペースにてOPEN SITE6(dot)「OLYMPICNIC MUSEUM」開催予定。