入江一郎「棒太郎物語 第一話上」

入江一郎「棒太郎物語 第一話上」

入江一郎の「棒太郎物語」は、20世紀美術史が抱える問題に取り組んだ作品である。入江はここでアニメーションの手法を引用しながら、ロダンからブールデル、ブールデルからジャコメッティとつづくヨーロッパの近代美術への批判と憧憬を、古典への反発と回帰、写実性と観念性、アカデミズムと反アカデミズムの反復というひとつの内省ととらえ、それが美術館の構造が生む権威主義と重なった姿を映し出す。 コロンビアの国民画家、フェルナンド・ボテロは1932年に生まれ、その作品は世界中で愛されている。ボテロはパリやフィレンツェで学びながら、具象のイメージをボテリシモと呼ばれる独自の形式に落とし込み、欧米から一歩距離をおいた作品を発表してきた。2005年には「アブグレイブ」シリーズを発表し、イラク戦争中にアブグレイブ刑務所でおきた囚人虐待事件を糾弾した。 これらの背景をもとに入江の寓話は語られる。大陸のヒーロー、ジャコメンチリは、南米から運ばれてきた主人公、棒太郎をいかに評価するのか。そして人種・移民問題や経済格差を包含しながら、凄絶な戦いの幕が切って落とされる。21世紀における美術の大衆性と芸術性という問題に解決策はあるのだろうか。


入江一郎

1969年東京生まれ。2歳よりロサンゼルスに移住。2001年クレアモント大学院修了。フルブライト奨学金によりメキシコに学ぶ。オクスナードカレッジ、ライマンアーツ講師。アメリカ、イギリス、ドイツ、オランダ、ポーランド、メキシコ、アルゼンチンなど世界各国の美術館やギャラリーの展覧会に参加し、個展を開催している。また、キュレーターとしても活動している。近年の参加展にBody/Color/Space(Art/OF ドイツ 2020)、Impermanance(個展 La Estacion Gallery メキシコ 2019)、 The Imposters(個展 eitoeiko 2018)、Secrets for the Moon(Harris Gallery アメリカ 2018)、めがねと旅する美術展(静岡県立美術館、島根県立石見美術館、青森県立美術館 2018~19)など。